浜名湖は、日本のうなぎ養殖が始まった土地です。125年以上の歴史があります。その伝統を受け継ぎながら、新ブランド「でしこ」の立ち上げなど、新しい挑戦を次々と続けているのが浜名湖養魚漁業協同組合です。生産者が大切に育てたうなぎは、衛生管理が行き届いた組合内の加工場へ運ばれます。そして職人たちの手で一つひとつ丁寧にさばかれ、焼き上げられ、全国の食卓へ届けられていきます。
この「食を支える大事な現場」で、ひときわ生き生きと働いているのが、入社3年10ヶ月を迎えるS.さんです。実は以前は「餃子屋」で働いていて、水産業界はまったくの未経験からのスタートでした。何も分からない状態からパートとして入社し、今では正社員として現場を支える存在に成長しています。さらに驚くことに、この職場の良さが気に入って、実の息子(R.さん・現在は丸浜入七養鰻場で勤務)まで紹介し、親子で組合で働いているのです。
「自分の子どもに自信を持ってすすめられる会社」。これ以上に説得力のある言葉があるでしょうか。別の業種からの転職の不安をどう乗り越えたのか。頑張りが評価されるやりがい。そして家族に自慢できる仕事の誇り。S.さんがじっくりと語ります。
第1章 浜松の「食」への想い。餃子屋から未知なる水産の世界へ
S.さんが浜名湖養魚漁協で働き始めたのは、今から約4年前のこと。それまでは、浜松名物として知られる「餃子屋」で働いていました。
「以前の仕事も好きでした。でも、転職を考えたときに、やっぱり『浜松の食に関わる仕事がしたい』という強い思いがありました」
浜松の二大名物といえば、餃子と並んで「うなぎ」があります。求人情報を探していたS.さんの目に留まったのが、浜名湖うなぎの中心とも言える漁協の加工場の募集でした。
ただ、飲食店の経験はあっても、水産関係や工場の現場はまったく知らない世界です。
「水産業界はまったくの未経験で、最初は不安だらけでした。そもそも、素人の私に『ウナギの区別がつくのかな?』って本気で心配していたくらいです(笑)」
生き物を相手にし、厳しい品質管理が求められる加工の現場。「職人気質で厳しい人が多いのではないか」「未経験の自分が入って足手まといにならないか」。そんな不安を抱えながら、勇気を出して初出勤の日を迎えました。しかしその不安は、現場に入った瞬間に見事に吹き飛ぶことになります。
第2章 不安を吹き飛ばした「ウェルカムな空気」と、正社員へのステップアップ
S.さんを待っていたのは、想像していたような厳しい世界ではありませんでした。驚くほど温かく、何でも話しやすい職場でした。
「本当にとても歓迎してくれる雰囲気の会社で、人間関係が抜群に良いんです。私が何も分からない状態でも、周りの先輩たちがみんな優しく、最初から丁寧に教えてくれました」
分からないことがあれば、すぐに聞ける雰囲気。失敗しても責めるのではなく、次にどうすればいいかを一緒に考えてくれる仲間たち。この温かい支えのおかげで、S.さんはすぐに職場になじみ、仕事のコツを身につけていくことができました。
「ウナギの区別がつくかなという心配も、毎日ウナギと向き合い、先輩たちに教わっているうちに、自然と分かるようになりました」
そして、真面目にコツコツ取り組む姿勢は、会社にしっかり評価されます。最初はパートとして働き始めたS.さんですが、その頑張りと実力が認められ、見事に正社員になりました。
「年齢や働いた年数に関係なく、一人ひとりの頑張りをちゃんと見て、しっかり評価してくれる会社です。パートから正社員になれたことは、私にとって大きな自信になりました」
組合には、暮らしの段階に合わせて働き方を選べる柔軟さがあります。やる気のある人には、どんどんチャンスを与える雰囲気があるのです。S.さんの成長は、未経験からでも自分次第で道を切りひらけるという、ほかのスタッフにとっても大きな希望になっています。
第3章 「うちのウナギだよ!」家族や友人に胸を張って自慢できる誇り
加工場での仕事は、決して華やかな仕事ばかりではありません。衛生服を着て、しっかりした品質管理のもとで、毎日コツコツと手作業を続ける地道な仕事でもあります。それでもS.さんは、この仕事に「ほかの仕事では味わえない大きなやりがい」を感じていると言います。
「一番のやりがいは、自分が加工に関わったウナギが世の中に出ていくのを、自分の目で見て実感できることです。テレビの特集で私たちの会社が取り上げられたり、浜松駅前で『でしこ』や会社ののぼりを見かけたりしたとき、『あ、うちの会社のウナギだ!』って、家族や友人に胸を張って自慢できるんです」
近年、組合が会社の命運をかけて立ち上げた新ブランド「でしこ」は、クラウドファンディング(ネットでお金を集める仕組み)で日本一の支援額(1,533万円)を集めました。さらにグッドデザイン賞も受賞するなど、いろいろな所から高く評価されています。東京の高級店でも使われるほどの高品質なうなぎを、自分たちの手で加工し、送り出している。その誇りが、日々の地道な作業を「地域の産業を支える大切な仕事」に変えてくれます。
「自分たちが丁寧に加工した商品が、全国の食卓に並び、誰かの『美味しい』という笑顔を作っている。そう思うと、毎日の仕事にも自然と力が入りますね」
餃子屋時代から持っていた「浜松の食に貢献したい」という夢は、この加工場で、想像以上の大きさでかなえられているのです。
第4章 実の息子も入社。「ブラック企業ではない」何よりの証明
このインタビューの中で、最も心に残るエピソードがあります。それは、S.さんが自分の働くこの漁協に、実の息子(R.さん)を紹介し、一緒に入社させているという事実です。現在18歳のR.さんは、中学を卒業して入社しました。今は組合の「丸浜入七養鰻場」で、うなぎを育てる養鰻スタッフとして立派に活躍しています。
「彼が中学卒業で進路に迷っていたとき、たまたま息子の担任の先生が池(養鰻場)の関係者だったというご縁もありました。私自身がここでパートとして働いていて『本当に良い会社だ』と実感していたので、いろいろと助けていただきながら入社させてもらったんです」
世の中にはたくさんの会社があります。でも、「自分の子どもに就職先としてすすめたい」と思える会社が、いったいどれだけあるでしょうか。親であれば、子どもには人間関係の良い、理不尽な苦労をしない、安定した環境で働いてほしいと願うのが当然です。S.さんが息子を誘ったという事実は、この会社が「ブラック企業ではなく、心から安心して働ける職場である」ということの、何よりの証明と言えます。
「息子も今、養殖場で毎日ウナギの成長を見るのが楽しいと言ってくれています。親子で同じ会社の違う部署で働き、家でも『今日のウナギはどうだった』なんて話ができるのは、とても嬉しいですね」
温かい人間関係。手厚い待遇(残業の少なさや有給の取りやすさ)。そして頑張りを評価する雰囲気。それらがすべてそろっているからこそ、実の家族にも自信を持ってこの仕事をすすめられるのです。
第5章 未来の仲間へ。未経験でも大丈夫、私たちがあなたを助けます
現在、組合の加工場では、新しい仲間(加工スタッフなど)を募集しています。土日祝休みが基本で、残業は月平均わずか5時間ほど。年間休日122日という、自分の時間も大切にできる働きやすい環境が整っています。
インタビューの最後に、これから組合で働いてみたいと考えている人へ向けて、S.さんからの温かいメッセージです。
「私自身がそうだったように、水産関係や工場の仕事が未経験だと『自分にできるかな』と不安になるかもしれません。でも、安心してください。この会社は本当に歓迎してくれる雰囲気で、困ったことがあればみんなが絶対に助けてくれます」
実の息子を誘いたくなるほどの人間関係の良さ。そして浜名湖の伝統を全国に届けるという、目に見えるやりがい。「餃子屋」から未経験で飛び込み、見事に自分の居場所を見つけたS.さんの笑顔は、これから入社してくる新しい仲間を、優しく迎え入れてくれることでしょう。
「自分の関わった商品がテレビに出たり、誰かに喜ばれたりする感動を、ぜひ一緒に味わいましょう。私たちと一緒に、楽しく働きませんか? お待ちしています!」